夏の思い出
夏日が続く東京に涼しさを届けてくれる1曲。
先日、「女学生の頃によく歌ったわ」というご婦人にお会いしました。どこか品があって素敵な方。私はこの方を通じてこの曲が好きになりました。連日の暑さに、はやくもだらけはじめた心にさわやかな風がふきぬけていく思いがしたのです。
あのご婦人のように、暑いときでもシャンとして、さわやかでよどみのない心を持った女性になっていけたらいいなと、そんな思いもあったのです。
振り返ってみれば、「女学生の頃の私」は、こういった清楚で美しいものには背を向けてしまうひねくれ者でした。けれど今は素直にこの曲好き、と言える自分に成長(!?)したのです。
今年の夏は時折口ずさんでみようと思います。(チャコ)
庭の千草
原曲は1813年出版のアイルランド民謡「夏の名残のバラ」。アイルランドの国民的詩人トマス・ムーアの詩に曲がつけられたものです。日本では文部省唱歌として1884(明治17)年に『小学唱歌集』に掲載されました。
美しい旋律は同時代の音楽家の表現欲を刺激したのでしょう。この曲を主題にして、ベートーヴェンはピアノとフルートのための変奏曲を作曲しています。
クラシック音楽家または愛好家でもないかぎり、偉大なベートーヴェンとは言え、音楽室にある定番肖像画のひとつに過ぎません(失礼)。けれど、200年前にベートーヴェンが同じメロディーに触れていると思うと、少し違った実感が生まれます。この曲を通じて、生きて動いているベートーヴェンを、僕ははじめて感じたのです。(チコ)
ヌアージュ
ジャンゴ・ラインハルト作曲のインスト曲。フランス語で「雲」の意味です。
「ぬ」で始まる曲名…。いくら考えてもひとつも出てこない。家中の楽譜をひっくり返しても何もない。今回はズルをしてネットで調べてもらいました。ただひとつ見つけたのがこの曲です。
もちろんまったく知らない曲。一体どんな曲? 聴いてみました。演奏者はジャンゴ自身と、もうひとつジプシーキングスのバージョン。両方ともイイ! すごくイイ!
メランコリックで、夜明けに聴くも良し、暑い昼下がりに木陰で聴くも良し。小雨降る夕暮れ時でも良し。まさに雲のように、静かにゆっくりとあるがままに流れてゆけばいいのだよ…と、そんな曲です。
50音の真ん中あたりで道に迷い戸惑っていたら、こんなにも心やさしい曲に出逢いました。(チャコ)
ネバー・マイ・ラブ
1960年代に人気を博したソフトロック・バンド「アソシエイション」の1967年のヒットナンバー。物憂げで美しい旋律とコーラスハーモニーが印象的な曲です。
「ネバー・マイ・ラブ」は20世紀中第2番目にテレビ/ラジオで多く流れた曲とされています。
※最も多く放送された20世紀ナンバー1は、ライチャス・ブラザーズの1964年の曲「ふられた気持ち」。
ちなみに、結婚披露宴の定番「てんとう虫のサンバ」で知られるデュオ「チェリッシュ」のグループ名は、このアソシエイションの1966年の大ヒット曲「チェリッシュ」に由来するとか。言われてみれば、チェリッシュのサウンドやハーモニーには、歌謡曲然とした中にも、60年代ソフトロックの影が確かに感じ取れます。70年代までの邦楽ポップスはあなどれません!!(チコ)
野に咲く花のように
作曲者・小林亜星さん、歌っていたのはダ・カーポ。昭和56年のヒット曲です。テレビドラマ花王名人劇場『裸の大将放浪記』の主題歌で、とてつもなくさわやかな曲です。
ドラマの主人公は画家・山下清さん。ランニング姿で「オニギリが好きなんだナ」という口調、夏休みの子供のようないでたち。なのに素晴らしい芸術家。ムムム、本当の芸術家ってのはこういう人なんだナ、と当時思った記憶があります。
日々の暮らしに追われたり、お金の心配をしたり、なんて観念はナシ! ある意味、かたよった人間です。だからこそ真の芸術家なのかもしれませんね。
当然私は芸術家にはなれないけど、芸術家的心は忘れずに暮らしたいと常々思っています。それは「感動する心」。感動してる時って、無邪気な子供になっちゃって、その瞬間だけ「あ、今自分は芸術家なんだナ」と思えるのでした。(チャコ)