牧場の朝
昭和7年の小学唱歌。タイトル通り、牧場の朝の風景を歌っていて、とても爽やか。この猛暑の中、心の中に草原の香りと涼しげな風が吹き抜けていきます。
この歌のモデルになったのは、福島県岩瀬郡石鏡町にある岩瀬牧場と言われています。ここは日本初の国営洋風牧場で、オランダの農機具を取り入れ、西洋風の牧場として作られました。
歌詞には、羊や牧童が登場し、「鐘が鳴りますカンカンと」と歌われます。この「鐘」も実際にオランダから友好のしるしに贈呈されたものだそうです。
福島県岩瀬町は須賀川のあたりで、実は私の母が縁故疎開でお世話になった土地なのです。母は当時麻布のあたりに住んでいましたが、福島に疎開し岩瀬第一小学校にしばらく通ったそうです。とても親切にしてもらい、果物がとてもおいしくて、楽しい思い出ばかりが記憶に残っているとのこと。
だから「牧場の朝」を聴くと、「友好」ってステキな言葉、とあらためて感じるのでした。(チャコ)
緑の牧場
「牧場の朝」に続き、もう1曲「牧場」を題材にしたさわやかな歌を紹介。「緑の牧場」は昭和23年にNHK『ラジオ歌謡』で発表されました。『ラジオ歌謡』は多くのヒット曲を生んだ歌番組です。
ラジオでは、当時すでにスターだった近江俊郎さんが歌いましたが、レコードでは津村謙さんが歌いました。津村謙さんは当時まだ無名でしたが、この曲によって名前が知られるようになり、後に「上海帰りのリル」も大ヒットします。
牧場。現代では家族で気軽に訪れることができる多くの観光牧場が存在します。けれど昭和前半の頃は、一般の人々にとってはおそらくもっと未知の場所だったことでしょう。
明るくさわやかで、同時に幻想的で神秘的。短調と長調の入り交じる軽快な曲調が、そんな牧場の朝を感じさせてくれる1曲です。(チコ)
虫のこえ
暑さもピークは過ぎたようですね。深夜にコンビニへ、なんて時に虫の音を耳にするようになりました。あんなに暑かったけれど虫の声が心に響いて、肩の力をそっとぬいてくれます。
子供の頃、8月中旬に1日だけ登校日がありました。まだまだ夏休みモードの私たち。けれどその日を境に1日1日は猛スピードで過ぎ去って、あっというまに8月31日をむかえることになるのです。
あれは何十年も前のちょうど今頃の記憶です。虫たちの声が、もう夏は終わりだよ〜、宿題やらないと間に合わないよ〜とおしえてくれていても、まだまだ夏は続くんだと悪アガキしていた自分を思い出します。(チャコ)
メロンの気持
1960年に森山加代子さんが歌ったラテン曲の日本語カヴァー。「私はメロン、誰かこっそり採りに来てよ♥」という、ちょっとコミカルなダンスナンバーです。
愛する人や自分の恋心を何かにたとえるのはラブソングの常套手段。特にお花は多い。バラが咲いた、白い色は恋人の色、花の首飾り。純粋な想いはしばしば花にたくされます。
それが果物、とりわけトロピカルフルーツとなると、もう少し軽い印象の歌になるようです。この「メロンの気持」と、その約20年後にヒットした「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」が、その印象を決定づけた気がします。
ちなみにアンデスメロンは南米アンデス山脈とは無関係。栽培中の病気に強いことなどから「安心ですメロン」と名付けられ、メロンは芯を取って食べるから「あんしんですメロン」から「しん」を取って「あんです」、というお話です。(チコ)
もしもピアノが弾けたなら
歌っていたのは西田敏行さん。味があって温かみがあって、癒される1曲です。
でもピアノが本当に弾けるようになりたいなら、レッスンを受けてみればいいじゃない、とも思います。実際はトレーニングすることがいっぱいあって、きっと大変でしょう。
結局この歌は、ピアノが弾ければ君に想いを伝えられる、表現できる、と言っています。でもそんなことないですよね。表現することも伝えることも、とても大変で難しいこと。日常生活ですぐとなりにいる人にだって、うまく伝えられないことばかり。表現しようと力み過ぎて、逆におかしくなっちゃうこともしょっちゅうです。
しつこくもなく、だけれどちゃんとあなたのことを想ってますとサラッと伝えられたら、どんなにステキなことでしょうね。(チャコ)